読了日記(2021.08)


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こんにちは。

 

8月が終わりました。今年も夏らしいことがあんまりできなかったのは悲しいですが、室内でできる楽しみをたくさん見つけられた月でもありました。

そんな8月の読書の記録です。

今年は月毎にテーマを決めて読書をしてみよう、という目標の下で選書しています。8月は「学ぶ・考える」です。

今月読んだ本は5冊。今月は新書が中心でした。

星空の谷川俊太郎質問箱

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数年前に谷川俊太郎さんの展示に行ったときに買った本です。読み返すのは久しぶりでした。

初めて読んだときはまだ学生だったのですが、今は社会人生活もすっかり板についた状態。価値観も考え方の癖も当時とは大きく変わったので、読んでいてなんだか不思議な気持ちになりました。

谷川俊太郎さんというと、合唱曲になっている詩たちのイメージだったので、ご本人は意外とはっきりとした言い方もするんだなあと驚きました。これは良い意味でも悪い意味でも感じたので、作品と人格は切り離してとらたちべきかもしれないと改めて考えるきっかけにもなりました。

 

読みの整理学

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「思考の整理学」で有名な外山滋比古さんの本。

ずっと積読になっていたのですが、ようやく読むことができました。

印象に残った部分はこちら。

感情移入のおこならない、ストーリーのないものは、すべて難解でおもしろくないもの、ときめつけてしまうような読みについての常識があっては、文学以外に読書はみとめられなくなってしまう。いくらたくさん本を読んでも、知っていることしかわからない。未知のことは感情移入がおこるようなものしかわからない。というのでは読書は未知を知る手段として機能を果たすことは困難である。

今まで自分が読みたいもの、読めるものばかりを選んでいて、たまに興味本位で難しめの本を選んでも途中で挫折することが多かったので、この部分を読んでドキッとしました。

どんな本を読むかは人それぞれ自由だと思っていますが、たまには背伸びして頑張ってみようかな、という気持ちになりました。

 

「わかる」とはどういうことかー認識の脳科学

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一年前にkindleのセールで買ったもの。こちらも長らく積読状態でしたが、やっと読み終えました。

感覚的になんとなく使っていた「わかる」という言葉を、脳科学者である筆者が説明しており、例も多く読みやすかったです。

「わかる」と一言で言っても、その状態にたどり着く方法は様々、ということをこの本を読んで初めて自覚しました。普段、理解へのアプローチを自分で無意識に使い分けていることにも驚きました。

今後も忘れないでおきたいな、と思った部分がこちら。

繰り返すと同じ神経回路が活動します。これは神経系の働きの特徴です。同じ神経回路が興奮すると、その回路を作っている神経細胞神経細胞のつながりは段々強固になります。忘れにくくなります。一回だけの記憶だと忘れてしまうことでも、繰り返せば忘れなくなるのです。

今までの経験から、繰り返すことの重要さを知っていましたが、改めて文章で読むことでより重要に感じました。これもひとつの「わかる」ということですね。

このほかにも、脳に損傷があると何が理解できないのか、などといった例も登場していました。脳のたった一部が傷つくだけで当たり前にできていたことができなくなること、傷つく場所が変わると「何がわからないのか」ということも変わることを知り、ちょっぴり怖くなりました。頭を守ることは想像以上に大切でした。

 

私とは何かーー「個人」から「分人」へ

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以前読んだ「はみだしの人類学」という本の中で取り上げられていて、そのとき悩んでいたことの答えが見つかるかもしれないと思い、読みました。

「一人の人間は、分けられない存在ではなく、分人という単位で複数に分けられる」という考えは、人間関係や自分らしさについて悩んでいた私にとって一筋の光となってくれました。相手が見ているのは自分の分人だし、また自分が見ているのも相手の分人でしかない。そう考えてみると、思いつめてしまうのは何だか無駄な気がして、心が軽くなりました。

一番心に残ったのは、こちらの部分。

人は、なかなか、自分の全部が好きだとは言えない。しかし、誰それといる時の自分(分人)は好きだとは意外と言えるのではないだろうか?逆に別の誰それといる時の自分は嫌いだとも。そうして、もし、好きな分人が一つでも二つでもあれば、そこを足場に生きていけばいい。

このあとに「誰それは生きた人間でなくても構わない」と続いていて、例えば「~している自分が好き」でもきっと良いんだろうなということに気づきました。好きな分人を見つけることが自己肯定の入り口。自分のことを全否定したくなったとき、好きな分人を思い出して居場所にしてみる。落ち込んだり、自暴自棄になりそうなときにこのことを思い出したいです。

途中途中で平野さんが書かれた小説についての話も出てきたので、今度そちらも読んでみたいと思っています。こうやって1冊の本から自分の世界がじわじわ広がっていく感じがとても面白いな~と最近実感しています。

 

三行で撃つ <善く、生きるための文章塾>

honto.jp

タイトルに惹かれて読んだ本。

「「など」を入れない」や「常套句を使いすぎない」といった、普段の生活でも実践できそうなことも多いのですが、筆者の主観が強い部分もあったので、好き嫌いが分かれそうな本だという印象を持ちました。

ライターとして、文章を書くことを生業にしているなら共感したり感銘を受けたりするのかな、と読みながら他人事に感じてしまいました。

 

おわりに

以上、8月の読了記録でした。

「学ぶ・考える」という読書テーマの通り、本を通じてあれこれ学んだり考えたりして、自分の世界が少し広がった気がします。

9月の読書テーマは「食」です。

食欲の秋と読書の秋を一気に先取りしてしまおうという魂胆です。

 

それでは今回はここまで。

ここまで読んでくださりありがとうございました。