読了日記(2021.05-07)
こんにちは。
あっという間に8月…!
書こう書こうと思っていた、読了日記を3か月分も溜めてしまいました。
雑誌や漫画をいれるとまとめきれなさそうなので、今回は本のみです。
5月から7月にかけて読んだ本は5冊で、内訳は以下の通り。
・小説 3冊
・その他 2冊
今年は月毎にテーマを決めて読書をしてみよう、という目標の下で選書しています。5月は「芸術」でした。6月と7月は読みたいものを読んでいたので、テーマはなし。
小説
線は、僕を描く
水墨画を題材にした、芸術青春小説です。「水墨画」と聞くと、日本史の図録や美術館で見る、ちょっと自分とは遠い存在であると思っていたのですが、後半はほぼ一気読みしてしまうほど、ぐぐっと惹きこまれてしまいました。
あらすじをざっくりと説明すると、不慮の事故で両親を失ってしまった喪失感の中にいた主人公が、ふとしたことをきっかけに業界の重鎮に見初められ、水墨画の才能を開花させていくお話です。これだけ読むとよくある物語な感じもしますが、そこに「水墨画」という要素と、まるで墨のような澱みない文章が加わることで、とても新鮮な印象を受けました。
作者は水墨画絵師ということで、作中の解説もわかりやすく、読んでいてイメージがしやすかったです。特に水墨画を描いている場面では、実際に目の前で絵が広がっているのような、不思議な感覚を味わいました。
読んでいて「良いな」と思った文はこちら。
穏やかな日に庭を前にして座るなんて、なんてことのないことだけれど、そんな、なんてことのない幸福を味わえるひとなんてこの世にはどれだけいるのだろうか、と思ったりもした。けれども今日は、僕らの番だ。
起用転結の結に向かっていくあたりのとある場面。うまく言語化できないのがもどかしいのですが、とても好きだなと思った一文です。
革命前夜
文春文庫『革命前夜』須賀しのぶ | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
「線は、僕を描く」が美術だったので、次は音楽だ!ということで読みたい本リストにあったこちらを読むことに。
読み終わったときの興奮がすごかったです。
そのときの呟きがこちら。
お昼の衝撃が未だに続いていて、結局今日の午後はまったく仕事にならなかった…
— 透子 (@f1f4tk) 2021年6月1日
読了した瞬間、帯に書いてある通り放心状態になったし、興奮して涙が出るという初めての経験もするくらい衝撃を受けたのもびっくり。
この人の本、もっと読んでみたいな。
あと浅井リョウの解説もとても良かった👏🏻 pic.twitter.com/WzI3WD0oJL
読み終えた瞬間、「うわ…」と声が出てしまってしばらく動けなかったのも初めての経験だった…
— 透子 (@f1f4tk) 2021年6月1日
最後の2ページだけもう何度も読み返しちゃう。
物語の舞台は東西分裂していたころのドイツ。主人公はピアノを学ぶ音大生。冷戦、東西分裂、社会の教科書の中での言葉だったものがとてもリアルに感じられました。
この時代背景もあって、全体的に暗い雰囲気でした。そのおかげか途中で出てくる音楽が一筋の光に感じられたりもしました。当時を生きていた人たちもこんな気持ちで音楽と接していたのだろうか、と考えてしまいました。
「線は、僕を描く」も「革命前夜」も、自分が知らない世界のことを垣間見ている気がして、とても刺激的でおもしろかったです。ある1つのものにまっすぐ追求している姿がわたしは好きなんだなと改めて実感した2冊でした。
マクベス
前2冊とはがらりと変わってシェイクスピア。
手にしたきっかけは、「午後3時 雨宮教授のお茶の時間」というわたしが好きな漫画のなかで登場したからです。この作中でマクベスのあらすじをざっくりと説明しているシーンがあり、それで興味を持ち、読むことに。
読んだ感想をまとめると、「難しい…!」の一言に尽きます。日本語訳もかなり前にされたものだったので、言い回しが文語に近かったせいもあるかもしれません。あと台本形式で書かれており、情景描写が少なかったせいもあるかもしれません。
現存するマクベスは当初よりも多くの場面が割愛されており、さらに後になって別の人が補筆しているため少しちぐはぐらしく、最後まで読んでもいくつか疑問が残りました。シェイクスピアが一番最初に書き上げたものはどんなのだったのか、とても気になります。
解説の中で「ハムレット」との対比がされていて興味深かったので、今度はこちらを読んでみたいです。先日映画で観た「ロミオとジュリエット」もいつか…!
ただ読んでいる途中難しくて挫折しそうになったので、当分先にはなりそうです。
「午後3時 雨宮教授のお茶の時間」はこちらで読めるので、ご興味ある方はぜひ。
その他
はみだしの人類学 ともに生きる方法
4月に読んだ「くらしのための料理学」同じシリーズのものです。
ここ数か月間ずっと「アイデンティティ」についてあれこれ考えていて、そのヒントになれば良いなと思って手にしました。これだ!と思うような答えは得られなかったけど、読んでいて心がふっと少し軽くなるような、そんな感じがしました。
印象に残った部分がたくさんあるのですが、ここではその一部をご紹介します。
「わたし」をつくりあげている輪郭は、やわらかな膜のようなもので、他者との交わりのなかで互いにはみだしながら、浸透しあう柔軟なもの。そうとらえると、少しは気が楽になりませんか?
この一文を読んだ瞬間、考え込みすぎてしまって濃霧につつまれていたものが少し薄くなったような気がしました。「わたし」は確かに自分の中に存在するし、譲れない芯みたいなものもある。けれど他人と関わることで感情や考えが揺れ動くことも当たり前にある。「あの人はこうだから」などといった感情も、このやわらかな膜を勝手に固い芯だと思い込んでいることがあるのかもしれない、そう思いました。
ひみつのたべもの
連載していたもの+書き下ろしが入った単行本。
もともとSKEにいた頃から知っていたし、乃木坂に交換留学していた姿もリアルで見ていました。しかし卒業して女優として活動し始めてからはあまり意識しておらず、本を出していることも知りませんでした。
今回読んだきっかけは彼女のYOUTUBE。自分の好きなものについてテンション高めの早口で話している姿がとても好きで、「玲奈ちゃんが書く文章を読んでみたいな」と思った次の日に本屋へ向かい、購入。もともと週刊誌で連載していたものなので、ひとつひとつが短く、あっという間に読んでしまいました。
登場するたべものの中には知らないものもあったりして、読んでいて楽しかったです。好きなものへの熱意や考えを率直に書いている文章も好みだったので、次は小説を読んでみたいです。
きっと読んだらひとつは食べてみたいものが見つかるはず。そんなエッセイでした。
こちらの記事でこの本の雰囲気が味わえるので、ご興味あるかたはぜひ。
おわりに
以上、5月から7月にかけての読了記録でした。
6月と7月はテーマを決めずに読みたいものを読んでみましたが、新しい出会いがあってこれはこれで良かったのかなと思います。
8月も中旬に入ろうとしていますが、の読書テーマは「学ぶ・考える」です。
と言っても、すでに1冊読み終わっていて、今読んでいるものも新書ということでの後付けです。
お盆はカレンダー通り仕事なのですが、他の日にお休みを取る予定なので、 今月は3冊くらい読めそうです。
それでは今回はここまで。
とても長くなってしまいましたが、読んでくださりありがとうございました。